ぺんたゴンチャです。

オラクル(ティッカーORCL)は世界標準のデータベースソフトを展開する会社です。システム開発に携わったことがある人で、オラクルという言葉を聞いたことがない人はいません。(いたらそいつはモグリです)

リレーショナルデータベースという今では当たり前の表形式のデータ蓄積方式製品の先駆者であり、その信頼性は微動だに揺らぐことなく今に至っています。銀行のシステムも証券会社のシステムもスーパーマーケットのシステムも重要なところはほとんどこの製品が使われていると言ってもよいでしょう。

オラクルが買いなのかどうか、結論から言うと、悪くはないがオラクルのファンというくらい好きでなければ他の選択肢もあり、というところです。

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では、収益の成長度を見ていきましょう。2015年、2016年は一株当たり利益は減少しましたが、その後は回復&成長に転じています。
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↑オラクルは長期的には利益を成長させている・・・

このグラフには表れていませんが、超長期で見た場合は、一貫してEPSは成長してきています。ざっくり10%程度の成長です。

次に、収益の安定性という点はたいへん優れています。営業キャッシュフロー(営業活動によって入ってくる現金)が売上高に占める割合は、54%と驚異的な高さです。あのマイクロソフトですら39%ですから(これも相当良い数字です)、オラクルの営業CFマージン54%は群を抜いています。

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この数字は高いほど良いのですが、一般的には15%以上あれば優れているとされています。現金がきちんと入ってくるので、新事業の投資も計画的に実行しやすいですし、配当金も安定的に支払えると言えます。

配当金は次のグラフをご覧ください。増配の度合いは年によってさまざまですが、ならすと年10%の増配が見込めると考えられます。
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割安かどうか?という点は、テック企業の中ではPERは低い方です。実績PERで19倍、予想なら15倍程度です。

ここまで見ると、ブランドと信頼を確立しており、ぼちぼちの成長性があり、配当金も増配が期待できる、と来れば長期投資として買うのも悪くはなさそうです。

しかし、PERが低めなのは、市場からは成長性に陰りがあると見られていることを忘れてはなりません。

ITに関わるものとして申し上げると、多くのユーザー企業が「オラクルにはお金を払いたくない」と考えています。ただでさえ馬鹿高いOracleライセンス費用、そしてしょっちゅう保守切れをして、そのたびにシステム再構築に掛かる費用を負担する必要があり、企業の情報システム部門は辟易しています。

エンタープライズシステムにおけるデータベースは心臓と言っても良いものです。

Oracleがライセンスのレギュレーションを変えてきたら、そしてそれは大抵ユーザーにとって不利なものですが、従う以外にありません。他のデータベースソフトに移行するのは、たいへんなリスクと手間を伴うからです。

とはいえ、世界中のCIO(情報システム責任者)たちがOracleにかける予算を削る傾向にあることは、調査から分かっています。有名ITメーカーへの予算で増額か減額かという調査に対して、OracleとIBMは減額したいと考えるひとが多かった2トップでした。(ご参考) 

マイクロソフトやアマゾンと比較して、大きな革新もありませんし、人質の情報システム部門からも嫌われつつあるわけで、将来は安泰とは言えない可能性があります。

私ぺんたゴンチャは知っています。多くのユーザーが「仕方がないから使っている」という現状を。ですから、少なくとも私が積極的に買うのは難しいと判断しています。

とはいえ、データベースソフトには絶対の信頼性がないとまずいですし、データベース移行でシステムトラブルなどというのはありがちな失敗の為、その愚挙に出るユーザー企業も多くはないと考えることも可能であり、これはタバコのような必要悪のような立場として、利益を産み出し続け、高配当化していくシナリオは大いにあります

株価はここ数年はレンジ相場を演じており、もし買うならば、これを意識すべきところでしょう。
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