ぺんたゴンチャです。

投資には個人的な「応援したい」という思いを反映させることが実は重要です。あなたは「そんな思いは邪魔になるだけだ!」とお考えでしょうか?しかし、それは間違っています。なぜなら、投資先の株価が下がる局面は普通にありますが、損切りしなくても良いのに損切りしてしまい、いつまで経っても儲からないパターンを辿る人は本当に多いからです。投資にあたり、この銘柄は財務面、収益面からとても良い、ということに加え、応援したい、という気持ちが重要なのです。

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応援したいという気分にならない銘柄があります。それはあなたも大好きな日本の通信銘柄です。具体的にはNTTドコモ(東証9437)です。

日本では首位の通信会社で、他の会社例えばKDDIやソフトバンクを寄せ付けない巨大な会社で、且つ、収益性も大変高く、配当利回りも現時点で4%ということから保有している個人投資家も多いでしょう。

しかし、それでも私ぺんたゴンチャはこの銘柄は好きではありません。好きではない、信じられない銘柄で儲けるのは難しいですから当然保有しません。

なぜなのか?先日、非常に話題になったツイートがありました。かつてNTTドコモでiモードを開発した夏野さん(今はOB)が「母の携帯の明細を見たら不要なオプションがてんこ盛りになっていた。OBとして恥ずかしい。総務省は厳しく指導してほしい」というツイートをしていました。多くの人は「お前が言うな!」という反応をしていました。
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↑iモードの生みの親、夏野さんのお母様の明細。不要そうなオプションがてんこ盛り。本人の意思とは考えにくい。

若い人はご存じないかもしれませんからご説明しましょう。

NTTドコモではスマホの前に、iモードというインターネット接続ができる携帯電話が大変に人気でした。情報サイトやゲームなど色々なドコモ専用のWebサイトがあり、基本的には月額300円程度掛かるオプションとして提供されているものでした。これを携帯を契約するときについでに契約することで、携帯電話の料金が大幅に安くなるというのがビジネスモデルでした。

なぜ携帯電話の料金が安くなるかというと、まず、携帯電話ビジネスについて知る必要があります。あなたはご存知でしょうか?

その辺にあるドコモショップは、NTTドコモ株式会社ではありません。全然関係のない会社です。NTTドコモ社と代理店契約を結び、商品を買い付け、店頭で販売しているのです。契約システムやショップ運営に必要ないろんなもの(お姉さんの制服とか)もドコモから提供されます。

ショップ(販売代理店)が1台携帯を新規契約したら、ドコモ本部はXX円をショップにあげる、という制度があります。単純に仕入れ価格と販売価格の差が儲けではないのです。XX円をショップにあげる、という制度のことを奨励金制度と言います。この奨励金を原資にしてショップは端末価格をある程度値引きできるのです。

ドコモ本社はなぜ販売代理店に奨励金を出すか?というと、一旦新規契約をしてしまえば、ユーザーはずっと携帯電話料金を払い続けることになるので、契約を取る為に費用を多少かけても問題ない、と考えるからです。

そして、様々なオプション、例えばdキッズやdアニメを契約させると、その分奨励金が本部から出るわけです。販売代理店の収益はそういったもので確保されているわけです。

こうしたビジネスモデルは、iモードの黎明期に発明されて定着したものです。当時から悪名高い手法でした。店のスタッフは「あとで解約してもらえればお金は掛からず、今日、携帯電話の値段をお安くできますので、オプションつけておきますね」と言うのです。この手法をある意味で煽ったのは、当時、ドコモ本部でiモードを仕切っていたのが、このツイート主の夏野さんです。

まさに「お前が言うな」状態なのです。

企業には、「良い利益」と「悪い利益」があります。上記のようなものは大変悪い利益です。社会に一切貢献せず、必要ない客に押し売りをして、本当は解約したいのに簡単に解約できない仕組みによって、利益をあげているからです。これを不当な利益と言わず何と言いましょう。法的に明確に詐欺とは言えないものの、立派な大企業がやるべき商売ではありません。社会的にひどいことをしている企業に、私は投資したくありません。

iモードのときは、課金手段を制作会社に提供したという点で、有料サイトの制作会社を勃興させるという効果はありましたが、現在はまったく大義名分などないでしょう。こんなダーティーな商売をやらなければならないほど成長に困っている状況なのだと理解すれば、投資家としては「買うべきではないリスト」に追加する他ありません。

こうしたオプション契約等の儲けはどれくらいでしょうか?決算説明会の資料に従えば、NTTドコモの営業利益の14%程度です。すべてが押し売りによる収入とは言いませんが少なくない契約数が含まれていると容易に考えられます。
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もし総務省から厳しく指導が入れば、この部分の利益はかなり減ってしまうことも考えられるので、やはりその点からも投資対象とはしたくないのです。

日本の通信株に対しては、このようにたいへんダーティーなイメージを抱いているため、たとえ収益性や配当が高くても、頑張って保有することは私には難しい。人は好きでもないものの為に頑張ることなどできないのです