テンセント(ティッカー0700 HK)を知らないという白痴な人はいるでしょうか。中国株を触っている人にとっては、あまりに有名なテンセントですが、意外と株をやっていなかったり、テクノロジー系のニュースを全くウォッチしていない人は全然知らなかったりします。まず、普通のひとは知りません。私はIT系の会社で会社で働いていますが、それでも知らない人は周囲にいます。世界最大のゲーム会社なのに、です。

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さて、その世界最大のゲーム会社は今非常に厳しい状況におかれています。ゲーム会社なのにゲームタイトルをリリースできない状況が続いているからです。おかしいですよね?原因は中国政府の締め付けにあります。これまで自由にスマートフォンのゲームタイトルをリリースしていたのに、2018年3月からより強い許認可制になりました。しかも、その許認可を監督当局が出さないという日々が現在も続いています。モンスターハンターの中国版はテンセントからリリースされましたが、中国当局の意向ですぐに配信停止に追い込まれたのは記憶に新しいところです。これにより、版権元のカプコンも打撃を受けました。

今後の業績への影響が気になるところです。どのくらい、テンセントはゲーム事業に依存しているか?を見てみましょうか。年々、ゲーム事業への依存度は低下してはいます。しかし、かなり重要な割合を占めていることには変わりなく、影響なしとは言えません。次のグラフの通り、今でもゲーム事業の割合は6割を程度を占めます。
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しかも、中国政府はゲームを社会問題として厳しい目を向けています。何でしょうか? 昔、日本でファミコンが出たときにもあったようなことですが、「ゲームをしすぎると馬鹿になる」ということです。ファミコンと違い、スマホやPCの場合は家族で使うテレビを占有しませんから、日がな一日中没頭できてしまう。というわけで、テンセントは自主規制を入れました。「12歳以下は1日1時間」という感じの規制です。これにより、ゲーム内で過ごす時間が減るわけですから、当然、業績への打撃はあります。

テンセントの株価は、ゲームタイトルのリリース規制とトランプの米中貿易戦争で下落し続けていましたが、ここに来て回復しています。貿易戦争の影響が和らぐという見方なので、あまりテンセント固有の業績を明るく見てのものではないでしょう。依然、ゲームタイトルは出せずの状態です。
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でも、ゲームタイトルのリリース規制が撤廃されるか、骨抜きになるか、いずれその時は来るはずです。株価はそのニュースが出ると急騰するでしょう。それを見込んでの賭けはアリかもしれません。
とはいえ、これは監督当局の動向にベットする行為ですので、素人にはお勧めできない。諸刃の刃です。

あと、付け加えておくと、テンセントは中国を代表するテクノロジーカンパニーであり、この分野はアメリカがこれからも覇権を握り続けたい分野です。テクノロジーカンパニーはいずれアメリカの軍門に下るしかありません。かつての日本のメーカーがそうであったように。