最近の暴落暴騰のストレスフルな相場環境で心身ともに参っている皆さま、もし何も考えずに従えば儲かる魔法の売買ロジックがあったら欲しいですよね。システムトレードがそれに当たると考えられています。が、現実は厳しいです。

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システムトレードは、「過去の相場データを分析して、売買戦略を作り出し、その売買戦略のプログラムに日々、株価をぶちこんで行けば売りか買いかのサインが計算されるので、トレーダーはそのサインに日々従い淡々と取引を行う、何回もトレードする内に分析通りの勝率・損益が実現する」というものです。

例えば日経平均先物を売買する売買ロジックを作るとします。それなりに儲かるトレード戦略を導き出すことは可能です。ただし、これは「過去のデータにおいて」という条件付きですが。あなたは「うおぉぉぉぉ!金持ちになれる戦略を見つけた!!!」と興奮し、実際にお金を市場に投入したくなると思います。

早速、リアルに投資を開始してみたらいきなり儲けを出し続けるかもしれないし、全く上手くいかないかもしれない。でも、どちらにせよ百戦して百勝とはいかないでしょうから負けが込む時期は必ずやってきます。そのときプログラムが示す売買サインに従い続けることができるでしょうか? おそらく無理なのではないかと思います。

無理な理由は、そもそも利用している売買ロジックがなぜ儲かるのか自分では説明できないからです。完全に信じきることができない。このブログでも以前書きましたが、「信じる者と書いて儲け」です。損をするときに信じられずシステムの運転をやめてしまえば損して終わりです。

もうひとつ、実際の相場では上手く行かない理由は、ただ過去の相場データに沿うように売買ロジックが組まれている為です。これをオーバーフィッティングと言います。最適化の罠とも言います。
また、経済原理の因果関係が無視されて売買ロジックが導かれていることも大きな問題です。「なぜだか分からないが、こうなっているので」という以上の理由がない。そうすると、儲かっている内はいいが、損をし出すと、この売買ロジックを信じられなくなり、失意の内にシステムを停止することになる。システムトレードあるあるです。

システムトレードの戦略を構築するには、株価データを揃えたり、分析用のアプリケーションソフトを買ったり、自分でプログラム言語を使って分析プログラムを書いたり、と中々に大変です。なので、そういう人向けに売買サインを出すプログラムが販売されています。それを買って相場に臨むことが可能です。しかし、やはり現実は難しいでしょう。自分で作り出した戦略ですら損を出すと信じられなくなるのに、どうして他人が作ったシストレ戦略に盲目的に従うことができましょうや。

結局のところ、システムトレードなるものは大半の人にとっては幻想です。(実は使いどころがないわけではないが、多くの人が想像しているような使い方、儲け方はできない)ならば、基本に立ち返り「なぜ株価が付いているのか」を勉強し日々の投資に活かすのが遠回りしているようで成功への近道です。