かつて私はサラリーマンに終止符を打ち、起業したことがあります。過去形になっているのはなんやかんやで気づいたら、あるベンチャーの幹部として働くことになったからです。

さて、以前私は友人同士3人で起業しようとしました。これが失敗でしたね。
全員フリーランスな状態です。職業はSE。システム系の仕事で事業を起こすことは一致していますが、それでは範囲が広い。具体的に何をやっていくか、ということが全く決まらない。事業の方向性に大いにもめるわけです。

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加えて誰が代表をやるか、という話や、カネの割り振りやら役割分担やら。そんな話を一日中して何も決まらず、そういうどうしようもない打ち合わせの日々が続きました。どれくらいやりあったでしょうか。ある日、誰彼ともなく「それぞれバラバラでやって、必要な時に協力できるところがあったら協力するという感じでいいんじゃない」と言い出し、事実上友人同士での起業はヤメになりました。そのまま続行していたらどうなっていたか、ぞっとしますよね。当時はマジでそんな話をしていましたから、今から思えば程度の低いというか…お恥ずかしい話です。でもこのエピソードにはすごく大事な要素が詰まっています。

友達同士の起業の問題点は、司令塔が決まらないことです。互いに遠慮か主張し合い、まとまるところがない。誰がカネを出している、ということも絡んでいます。お互いが共同出資なら誰も決定権を持たないということです。3人が4:3:3であっても、4の人が決定する力はない。おそらく既に僕らは社会人を経験してきたからとりあえずやってみようではいかないのだと思います。

サークル乗りなら良かったのかもしれませんが、そこはもう家族を持ってたりする大人です。学生と違い、人生掛かってますから。やはり事業運営には社長と部下、という上下は必要でしょう。この場合、多少出資金額に差が出たとしても事実上対等なんですよね。そりゃ揉めます。

で、誰が開発担当だ、営業担当だ、とか言い始めるとさらに揉める。「営業が仕事を取ってこないと始まらないのだから営業担当ばかりが動くことになるよね?その間開発担当は何しているの?」とか。「いや、開発が始まったら営業担当は時間ができちゃうよね?取り分が3等分っておかしくね?」とか。。。「そもそもどういう方向性で行きたいかって、ゴンチャ(私)が決めるのではなく皆が納得するものにしようよ」とかとか。もうね、終わってますね。

みんなそれぞれITエンジニアとしては高い能力を持っています。それでもこれですから。集まってしまうというのは、皆それぞれ甘えがあったんですよ。多分。一人では怖いから。しかし、ただ友達同士で集まっても絶対に起業して経営などできない。断言してよい。例外があるとしたら学生の内にやってしまうこと。古くはリクルート、2000年代だとカヤックやミクシィが学生起業です。

社会人を経験してからの場合は自らが全てを計画しカネも出して、その計画に賛同できる仲間を募ることです。これがたまたま友人であったら誘えば良いです。人を誘うということは人の人生も左右してしまうので責任を取る気概も必要です。その人を頼る、とかじゃダメ。俺が社長、お前はこの部分を手伝ってくれ、給料はなんぼ出す、経営方針は俺が作る、そういう感じじゃないと難しいと思う。やっぱね、友人関係を壊したくないってのが来るから難しいよね。でもビジネスはそんな生半可なことではうまく行かない。

私の場合はそうやって皆でゴニョゴニョ討議を繰り返してそういう結論に至ったから、これはこれで貴重な経験でした。